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プラセボの中の人の最果て

『到着』 -1

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テキスト

『到着』



門をくぐると丁寧に手を入れられた草木と白い玉砂利の道が目に入った。
車は二手の右へ、立ち並ぶ緑の中ゆるゆると進む。傾斜を登りきり視界が開けると、
前方に想像以上に古めかしい外観が現れた。まるでどこかの文化財でも見るような、重く華美な造り。
運転手に礼を言って降り立つ。長旅の気怠さを小さな伸びで追い出し、大橋は改めて朝日を受ける館を見上げた。



玄関を入ると扉のガラス細工に目を奪われた。美しく品の良い意匠だ。建物よりは新しく、
後世に設えられたものとわかる。屋敷の主がそれほど悪趣味ではないようなのを見てとって安心する。
待ち受けたメイドに名を告げ、正面ドアからホールへ踏み入ると、優美な照明となめらかな絨毯敷が出迎えた。
2時の方向には上へと続く大階段が見える。深い茶黒の手摺は重々しく優雅なカーブを描いて昇っていた。
階上を覗き込もうとしたがメイドに声をかけられ、誘導されるままにホール奥へと進んだ。



南向きの応接室は広く明るく、しつらえも豪華だった。
窓からは美しい庭が見える。バラが多いのは当主の好みであろうか。
ソファに体を沈めて待っていると先程からのメイドが紅茶はいかがかと尋ね、ではそれをと返答する。
と間もなく菓子と共にトレイに乗せて運んできた。
茶も菓子も磨かれた茶器もなかなかの物で、資本があるという噂は本当のようだ。
当主とのあっさりした会談(挨拶、と言っていいだろう)を終え、革張りのソファから立ち上がる。
お部屋にご案内しますと言ってメイドが床の荷物を持とうとしたのをやんわりと制し、彼女の後に続いた。



ホールへ戻り左へ折れる。階段横の奥まったドアを開くと渡り廊下が現れた。
「使用人宿舎へ続いてます。外を回っても行き来できますけど、こちらをお通りになると便利ですよ、雨降ったときとか。」
と説明がある。快活そうな娘(こ)だ。
渡り終わると案内人はまた左に折れた。曲がりながら
「この辺りはお洗濯したり、おトイレとかお風呂とかです」と右手で雑に輪を描きながら補足する。
そのまま進んで、個室の入口と思われる同じようなドアと窓の並ぶ廊下へと出た。
廊下の左手側には大きなガラス窓が廊下の向こう端まで連なっており、そちらは中庭に面していた。
思ったより陽当りは良さそうだ。と言っても部屋に居る時間など僅かだろうが。
ガラスの向こうの中庭には、物干し場らしきものといくつかの遊具、砂場らしきもの、
無造作に置かれた三輪車などが見えた。


(つづく)


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突然のテキスト投稿にポカンとする気持ちわかるめっちゃわかる(^q^)
これな、
ここのとこでずーーーっと設定いじくり回してたじゃん?
それの一環でなんか知らんが生まれ落ちたテキストです。大橋視点です。

大橋がな、語り部にすごい良いのよ!
屋敷については見取り図もしっかり書いたんだけど自分でいまいち立体感つかめてなくって
でも語り部を設定したらめっちゃわかりやすくなったの。ありがとう大橋。

このテキストで屋敷の様子がちょっとわかる。
あと、大橋という人の雰囲気もちょっとわかる。たぶん。


続きちゃんとあります。けど見直しがまだなん。
もっかい見直して手直し済んだら、続きをアップしようと思います。


例によって私が私の楽しみのために書いてるものだけど、
もし一緒に楽しんでくれたら、うれしいなあ。






 気配残し(WEB拍手)

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